5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

【悶々と】萌えキャラ『日本鬼子』製作30 【萌え】

347 :創る名無しに見る名無し:2013/03/13(水) 23:38:20.56 ID:eory9y2+
 陽の光は早くも中天を少し超え、午後の傾きに差し掛かって居るだろうか。
光の角度の変わり目が、影の形を僅かに変えて、其れが娘の眼に映ったのか。
特段、気にする程の事もない、些細な光のイタズラだった。
実際、若者は娘の瞳を直視する事など出来ていなかった。
元来、褒められる事など無かった自分である。
分家の娘の言葉であっても、若い娘からの褒め言葉に少々面映さを感じて、視線をワザと逸らしてしまったくらいであった。
 だが、、、
若者の中で、何かがフイと気になった。
先の警護所の修理造営も、破れた堤の修繕も、確かに自分が関わったが、普請自体はそれ程大した規模ではない。
本来、我が心に秘めて渇望するが如き大望に比べたら、水毛が風に吹かれて飛ぶが程度の小技である…。
父にしても兄上達にしても、わざわざ自分が関わったと放言して回るほどの仕事をこなした訳ではない。
何故に、城下からこんなに離れた分家の娘が聞き及んで居るのかと、却ってそちらが気になった。
 恐らく、、、コンナフウニ考えるのは、未だ自分に自信も実績も無いからなのであろう。
 男と違って、女子衆の噂好きや話し好きは大した物だと聞いている。
 一族の誰かに、母が少しばかり大袈裟に話したのだろうか、、、?
 其れにしても…。

 父から、"お前では戦働きはできん"と言われたその時から、それまで日々振り続けた木刀を捨て置いた。
15の歳に、今まで自分を支えてきた心の半分が、ザラリと音無く崩れて消えた。
残った心の半分は、家門の誇りと其処に男子として生まれた意義を、自分に求める重圧だった。
男子15の歳と言えば、もののふならば成人として戦場に立つ歳だ。
その歳に成りながら戦働きは出来んと言われたならば、もはやこれ以上体を鍛えて木刀を振っても無駄であろう。
自分でも、薄々気が付いていた事ではあったが、、、其れでもその現実を言い渡されてしまった事は、生半に受け入れるのには痛すぎた。
 失った半分を何かで埋めねばならなかった。
 残った半心の重圧に釣り合う何かで補わねば、自分は、自分の心に喰らわれてダメに成ってしまうだろう。
心に負った痛みに身悶えして寝込むより、若者は傷の痛みにウナサレて当てど無く助けを求めて彷徨うように答えを得んと行動した。
其れから三月の間、若者の姿は庭には無く、代わりに古い記録が山と積まれた滅多に家の者も立ち入らない、家伝の書庫の中にホコリにまみれて座っていた。
書庫の中で若者は、蔵書の片っ端から盲滅法に目を通し、求める答えを探し続けた。
 自分と同じような境遇ながら、過去にヒトカドの者として名を立てた先例は無いものか…。
 戦記や戦訓、戦場録から、武門に属する者として、戦う以外の事で武功を謳われた例は無いだろうか…。
熱病に浮かされたような其の様子に、家の者はタダ黙って放置した。
家の躾の厳しさから敢えて優しく慰める事をしなかったのか。
其れ共、出来損ないの三男坊が失意の余り奇行に走ったと、もはや捨ておけと見放したのか。
今となっては真意の程は判らぬが、当時の若者にとっては、煩わしい邪魔もされず却って有難いと思った位な事だった。

492 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)