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悪臭や植物に被害、登山者に携帯トイレ試験配布

ビニールと吸水シートがついた携帯トイレ
　愛媛県は西日本最高峰の石鎚山（１９８２メートル）を訪れる登山客に対し、携帯トイレの使用を呼び掛けるキャンペーンを続けている。
　登山道沿いで用を足す行為が後を絶たず、周辺に悪臭が漂ったり、絶滅の恐れのある希少植物が踏み荒らされたりする恐れがあるためだが、
常設トイレの増設には多額の費用がかかり、容易に予算化できないのが実情だ。県自然保護課の担当者は「登山者のモラルに訴えていくしかない」と、普及策に知恵を絞っている。
　携帯トイレの普及啓発は、「石鎚山クリーンアップキャンペーン」（１１月３０日まで）の一環として２０１０年から行っており、今年は９月８日に、山頂近くの既設トイレ２か所を閉鎖。
成就社の登山口（約１４００メートル）付近で、高密閉チャックの付いたビニール袋型の携帯トイレを３７０人に配布した。
　このうち１４０人に対して、アンケート調査を実施。使い勝手などを聞いたところ、「携帯トイレだけでいい」との回答は１０％で、昨年の１２％を下回るなど、活動成果は見られなかった。
中略）
　雨水と共にし尿を戸外に流す安価な放流式トイレは、頂上付近に設置されているが、登山道沿いへの設置は、環境への影響が懸念され、同課は来年以降も携帯トイレの普及に取り組む方針だ。
　先進地の北海道・利尻山では地元自治体が中心となり、６年間、携帯トイレの無料配布を実施。登山客のモラルが向上し、観光物産店や宿泊施設でも購入できるようになり悪臭などの問題は解消されたという。
　携帯トイレは、アウトドア店などで５００円前後で購入できる。同課の藤原栄二主幹は「どんな普及策が効果的なのか模索しながら活動を続けたい」と話す。（林興希）
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（2012年10月26日13時34分読売新聞）