「オカルトを信じない人は成功しない」小説家・保坂和志の『考える練習』オカルト版とは?

■スプーン曲げの清田くんと松井秀喜

——なるほど。そういう経緯があったわけですね。では、オカルトといまの社会の関係性についてはいかがでしょうか。
素朴な言い方をしてしまえば、現在、多くの人の考えのよりどころは科学的な妥当性にあると思います。
科学的ではない物言いをすると、すぐにオカルトと思われがちです。そして、オカルトに対して、肯定/否定という
切り口でしか語られなくなってしまっている状況があるのではないでしょうか?

保坂 それは両者に問題があると思う。オカルト否定派は頭ごなしにオカルトを全否定してしまう。
一方、オカルト肯定派のほうも極端な実例ばっかり出してきて、相手を説得するより自分が信じたいほうが先に
立っているように見える。だから両者は真面目に交流しようと思ってない。でも結局、オカルトを肯定する人々も
否定する人々も、比べてみると、同じように「なにか」を信仰しているんだよね。

つづく